7月8日からスタートした「沖縄現代工芸展2020 開かれる沖縄の扉」。
世界中の誰もが経験したことのない「新型コロナウイルス 」を身近に意識しながら、無事に最終日を終えて、今沖縄でこの記事を書いています。
2週間という長い催事の中で、新しい出会いや、懐かしい再会、思いもよらない出会いなど本当に数々の物語が生まれた展示会場でした。
ご来場いただいた皆様、このような場所を提供してくださった日本橋三越の皆様、陰ながら応援してくださったたくさんの友人・家族全ての方々に感謝いたします。
2019年は、首里城が燃えてしまい多くの人が喪失感に包まれ、年が明けて間も無く世界中を覆い尽くした新型コロナウイルス 。
本来ならば、この原稿を書いている今日(2020年7月24日)は、悲願の東京オリンピックの開催式の日となるはずでした。世界中から人が集まり、東京中が歓喜に満ちていたことでしょう。そんなイメージを抱きながら、この時期に開催できるよう日本橋三越の皆さまと交渉してきました。そのイメージとは裏腹に、オリンピック中止は紛れも無い事実となり、この企画展の開催すら危ぶまれることになるとは思いもよりませんでした。
緊急事態宣言が発令され、行動自粛が要請された結果、幸いにも開催の可能性にともし火がともりました。
そこで、だれもが見えない抑圧された空気に居心地の悪さを抱えながら過ごしている日常に、心が洗われ、明日への扉を開く気持ちになれる展示になるように構成しました。
おかげさまで、沖縄へ思いを馳せてくださる方々が連日沢山訪れてくださり、それぞれの沖縄への思い出を語ってくださるという貴重な体験になりました。
今回特別にご用意いただいた首里の城間びんがた工房、城間栄順氏による首里城のタペストリーを見ながら涙する方を拝見することも。
初めて参加した県外催事で、お財布を買ってくださった新潟の方が、日帰りで日本橋に訪ねてくださったり、東京で生まれ育った、はらいそのすぐそばにずらりとならぶ亀甲墓の門中の方が、いつもインターネットで活動を見ていて応援しましたと嬉しい言葉をかけてくださったり、本当に私自身涙ぐみそうになる場面が沢山ありました。
喜如嘉の芭蕉布の織生地に染められた城間びんがた工房15代目城間栄順氏による梅の花が染められた紅型の額絵。最終日に、わざわざ長野からいらしたお客様によってお求めいただきました。
去年につづいて大人気だった紅型工房べにきちのパネルや帯、タペストリー。初日からお着物を召されたお客様がたくさんいらっしゃいました。
この企画展に向けてオーダーしていた工房ぬりトンによる「クワズイモ」のお皿も滞在時間半日という儚さでお客様のもとに旅立って行きました。
Galleryはらいそとして初めての企画展が開催された銀座三越「沖縄、夏のいろどり展」から、毎回いらしてくださるお客様が、最終日最後のお客様となりました。一年ぶりのつかの間の再会。お客様と一緒に改めて愛でる沖縄の器たち。どれをつれてかえろうかと真剣に悩むその姿に寄り添い、器について私が伝えられるいくつかの情報を伝える。すると「今年はこれにします」と選ばれたのが、匠工房の「うずイラブチャー」のグラスでした。
一度では伝えきれない本当にたくさんの出会いが、今回の日本橋にありました。
その出会いのキーとなったのは、紛れもなく今回展示会に参加してくださった工房の「沖縄現代工芸の作品」です。およそ12工房の作品が一堂に介し、沖縄の今を伝えることができたと思います。
結果として、オリンピックが開催されなかったことで、本当に沖縄や工芸品の好きな未来につながるお客様との出会いが生まれました。今回ほど、次のDMを送ってくださいと言われた催事はございません。
県外催事に参加し続けて4年目を迎えます。今回の日本橋三越で開催された「開かれる沖縄の扉」で、はらいそとして史上最高の結果を出すことができました。この結果から、次への新しい沖縄現代工芸の扉が開くと信じてやみません。
最後に、この不安定な情勢の中、こちらの要望に期待以上に答えてくださった沖縄の現代工芸作家のみなさまに深く御礼申し上げます。
それぞれにフィードバッグをまとめて、お客様からいただいた課題を共有し、また来年、どこかでみなさまとお会いできるまで、作家の皆様と共にGalleryはらいそも精進してまいりますので、次回お楽しみ!
- あさと木漆工房
- 花藍舎
- 金細工まつ
- 工房ぬりトン
- 城間びんがた工房
- 紅型工房べにきち
- MARIKASI
- 緑の風
- 琉球螺鈿水上康子
- 再生ガラス工房てとてと
- 匠工房
- 陶芸こまがた
- 陶factory509
- 工房ことりの
ニュースレターを購読する