映画「JOKER(ジョーカー)」の見どころとは?|はらいそ通信

こんにちは。Galleryはらいそ河野です。突然ですが、映画の話。私は小さい頃から無類の映画好き。なので、はらいそ通信では必然的に映画の話も出て来ます。映画の世界から「美意識」というものを培ってきたといっても過言ではありません。以前GAGAの中途採用にも応募しましたが残念な結果になりました。それはさておき、映画というコンテンツは私にとっては必然といえば必然かなと、、、ご興味のない方は遠慮なくスルーでどうぞ。1週間に及ぶ企画展「新涼にたたずむ沖縄の美」巡回展が火曜日で終わったので、やっと解禁、今年の夏にオープンしたPARCO CITYへ夫の運転でいざホアキン・フェニックスの奇怪であろうジョーカーを観に行ってまいりました。

前情報は一切入れない

観たい映画がある時に、気をつけるべき点として我が家が神経質になっていることとは、

前情報を一切入れない

ということ。

なぜか。

基本的にまっさらな状況で自分の目と自分の脳で映画を感じたいから。誰かの評価を正解として見てしまったら捉え方がその誰かのもので侵されてしまう。だから、極限まで前情報を入れずに見たいのであります。

なので、観に行くと決めた映画は、FacebookやTwitter、Instagramに流れて来る情報を完全に、神経質なまでにスルーします。

特に気をつけなければいけないのが、映画評論といえばこの方の右に出る者はいないというほど映画通の「町山智浩」さん。
彼のTwitterアカウントや、彼がテキストを書いた評論など映画に関する情報は自然と流れてきてしまう。

ああ、ああ、ポチッとクリックしてその先を見たい・・・

そんな欲望と見てしまった後やってくるであろうひどい後悔の予測とのせめぎ合い。クリックするかしないか。してしまったら、何気ない夫婦の会話に出てしまい夫にバレて怒らせてしまわぬか(普段温厚な夫ですが、ネタバレだけは厳しい)・・・などと余計な妄想を繰り広げながらグッと我慢を続けるのです。

映画「JOKER」主演男優ホアキン・フェニックスといえば

25歳の頃に「グラディエータ」という映画で異色の存在感を放っていたホアキン・フェニックス。自分と同じ歳だから当時彼も25歳。25歳を前に、仕事を辞めて1年間フラフラと放浪していた自分とは大違いに巨大なスクリーン越しに活躍しているホアキン・フェニックスを見て、「この人、演技力やばい・・・」と感じたものでした。フラフラしていた自分とは全く比較などしませんでしたけど。当時グラディエーターの撮影場所だったマルタ共和国にしばし住んでいたので、グラディエーターのアカデミー賞受賞のニュースに首都ヴァレッタは大騒ぎ。夜遅くまでパブでは乾杯の嵐で賑わっていました。以来数あるホアキン・フェニックスの出演作品「THE MASTER」「Her」Inherent Vice」を見てきましたが、どれも印象深く残るものばかりでいつの間にか自分の中で「外せない役者=彼の出演作品はMUST WATCH」となっていました。

そんなホアキン・フェニックスがJOKERを演じるというニュースを知った時、身体中がぞくぞくと得体の知れぬ興奮で満たされて行くのを感じずにはいられません。

お待たせしました見どころです。

さて、前置きが長くなりましたが、ホアキン・フェニックス演じる映画「JOKER」の見どころをご紹介。まずは王道のこの二つ。

  • 既にベネチア国際映画祭で金獅子賞受賞済み
  • アカデミー主演男優賞有力候補とささやかれている

個人的には、アカデミー賞受賞作品に対する思いはあまり持ち得ていないのですが、メディアでの持ち上げっぷりはノーベル賞と同じくちょっぴりオーバーな気がしますよね。アカデミー賞を受賞したから自分にとって印象に残る映画かどうかは別問題です。でも世界中から絶賛されているこの映画の理由は見て納得できる方も多いはず。

個人的にオススメする見どころとは?

  • ホアキン・フェニックスの衣装
  • ホアキン・フェニックスのメイク
  • ホアキン・フェニックスの演技
  • 音楽
  • 現実と妄想との境界線

映画「JOKER」はあらゆる視点から見て、いまだに余韻に浸り続けられる魅惑の作品です。一部暴力的なシーンもありますが、コミック映画のヒーローもののような単純なストーリーではなく、70年代を舞台にしながら、現代に巣食う社会問題をうまく組み合わせています。この辺りもバットマンビギンズ、ダークナイト、リターンズのクリストファー・ノーラン監督の映画に通じるものがあります。

ホアキン・フェニックスの衣装

映画「JOKER」の衣装を担当しているのは、過去に衣装部門でアカデミー賞を2度も受賞しているマーク・ブリッジスが手がけています。最初の出で立ちから、なんてかっこいいの!と女子高生さながら、夫が隣にいるのも忘れて胸をキュンキュンときめかせておりました。前回の映画「ファントムスレッド」の衣装もため息の出るようなシルエットで、ダニエル・デイ・ルイスの引退作に花を添えていたのも記憶に新しい。今回は、格差社会の底辺にいる設定のホアキン演じるアーサー役の衣装とJOKERの衣装が時系列にそって折り重なり徐々にJOKERのスタイリッシュなスーツに変わって行く姿が印象的でした。

ホアキン・フェニックスのメイク

JOKERの白塗りの顔には諸説あるそうですが、私はDCコミックには明るくないので、割愛します。メイクに使われている顔料一つとっても色が独特で美しいので、ここも見どころの一つ。特にメイクをしている時に涙を流すシーンがあって、その涙の色がまた美しいのです。

ホアキン・フェニックスの演技

ホアキン・フェニックスの演技力は既に色々な映画で実証済みではありますが、初めてこの映画でホアキン・フェニックスの存在を知る方も多いのではと思いますので、演技は見ものです。その冷酷さや優しさはホアキンなのか、アーサーなのかそれともJOKERなのか・・・見ているさなか自身も混乱に陥ってしまいそうな場面が多々あるこの映画、演技力に吸い込まれてしまいそうになった時には、深く深呼吸して一旦視点を後ろに持っていって俯瞰で見ることも必要かもしれません。アーサーからJOKERへと変化して行く工程を自分の人生と重ねる人もいるはずです。私も、15歳の頃、擦り切れそうになるまでチャップリンのライムライトを何度も何度も見ていた頃に連れ戻されそうになりました。

役作りのために23キロも減量したそう。触れただけで折れてしまいそうでフラジールなホアキンがまたたまらなくカッコいいのです。

そして、見ておくべきところは「ダンスシーン」。階段で多幸感の中で踊るダンスシーンは私の映画史に残る名シーンになることでしょう(笑)。

音楽

映画ファンなら、このサウンドトラックに酔えること間違いなし。と言い切れちゃうくらいにサウンドトラックが素敵。

現実と妄想との境界線

極力ネタバレしないようにこの記事を書いていますが、どのレビューにも書かれている程度の情報だけお伝えしておきます。ホアキン・フェニックスが演じるアーサーは、格差社会の底辺の底辺に暮らしており、何種類もの向精神薬を処方されている設定で、ゴッサムシティの財政難でカウンセリングや投薬の補助を受けられず社会に放たれることになります。そこから、彼の妄想が始まり、スクリーンを見ている側もしっかりと把握していないとどれが現実でどれがアーサーの妄想かがわからなくなります。その辺気を引き締めて(笑)ご覧になるとわかりやすいかと思います。

まとめ

映画「JOKER」の魅力はなんといってもホアキン・フェニックスの演技力。若くしてこの世を去った兄リバー・フェニックスが、お前こそ役者になるべきだと言い続け役者の道に進んだホアキン。そして、クリストファー・ノーラン監督のバットマン「ダークナイト」で世界中から賞賛されたジョーカーを演じ、リバー・フェニックスと同じ理由で短い人生を終えたヒース・レジャーの後にJOKER役のバトンを託されたホアキン・フェニックス。運命のいたずらなのかと、勘ぐりたくもなるこのシチュエーションで、見事その殻(プレッシャー)を破って、独自の魅力を放ってくれたホアキン・フェニックスにありがとうと思える作品でした。