私たち夫婦が営むギャラリーの名前には「はらいそ」という名がついている。
ほとんどの人には聞き覚えのない言葉ではあるものの、一部のコアな人には通ずる言葉である。
まず語源としてポルトガル語の「paraiso」から来ている言葉。楽園の意味をもつ。
遠藤周作の『沈黙』の中にも隠れキリシタンへの教えの中で言及されているシーンがあったと記憶している。
漢字では「波羅葦僧」などと表記されるそう。そんなことを昔やんばるで「波羅蜜」という名の飲食店を営む友人から教えてもらったことがある。
ある種宗教的な意味合いを持ち合わせてるのだろう。
私たちがこの言葉を選んだ本当の理由は別のところにあって、息子がお腹の中にいるときによく聞いていた細野晴臣さんのアルバム『はらいそ』に収録されている『はらいそ』という曲が好きだから。
名前をつけるという行為は、なかなかむつかしく、気をつけた唯一のところはわかりやすさ。
短い言葉でひらがな4文字ということでクリアした。
ちなみに息子の名前も細野さんの名前を由来している。
たまたま友人が細野晴臣さんのラジオ番組に出演して、沖縄ではらいそという名前のギャラリーをやってる友人夫婦がいて、その息子の名前も晴臣って言うんですって全国放送で言及したことを別の友人から知らされる。
その時の細野さんのレスポンスといえば「やりすぎでしょ笑」だった。
そりゃそうだ。
自分でもそう思う。
最近、はらいそに訪れる客層の中で、70〜80年代の音楽にハマっている若い学生や、細野晴臣さんの聖地巡礼として訪ねてくれる人が立て続けにやってきた。
密かに胸が熱くなった。
そんな人たちには、ぜひ天気の良い日に楽園をイメージして作り上げたはらいその庭で『はらいそ』を口ずさんで欲しいものです。
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